釣行記を読んでいただけると分かるとおり、何と今回はカワハギが1枚だけ・・・。こうなるとこの一枚が、とても貴重に感じられて、こうなると何を置いても刺身で決まりです。
唯一良かったのは、数釣りできなかったので、魚を捌くのもこの一尾に入魂できました。しかも夜釣りでもないので、調理する時間も十分にありました~(笑)
そこで手元に気がつくと買い貯めてしまっら魚のレシピ本が何冊かあり、その中の漁師料理系の一冊を繰ってみるとカワハギ料理のところに「肝味噌たたき」なる文字が目に入りました。見るにつけ美味そうです。酒もちょっと銘柄が違うかもしれませんが、東京はぜさんや
かねやんさんが紹介していた「寒中梅」(寒中梅は、おいらの近くの店ではこれしか売ってなかった・・・)も準備しました。
準備も万端 いよいよ薄造りに挑みます。・・・話は変わりますが、かの短歌詠みで著名な与謝野晶子女史の優しくかつ激烈な歌を思い出しました。
やわはだの あつき血潮に 触れもみで さびしからずや 道を説く君
昔CMで流れていたので、古い人は知ってるかなぁ~(笑) とりだした肝は、とてもキレイなアイボリー色でふっくらと柔らかく、まさにこの“やわはだ”の一言がピッタリな趣でした。
このやわはだ・・・ならぬ肝を慎重に取り出して、少々強めの塩を当てておきます。肝の近くにある緑色の胆のうは慎重に外して(まちがってつぶすと苦くて、肝が台無し・・・らしい)、できれば肝の周りの太い血管も除いておきましょう。
皮をはいだカワハギは、三枚におろして、身の中央の血合骨を境に上下にサク取りして、血合骨の部分も薄く切り取ったら、普通の魚の刺身を作る際の皮を引く要領で身についている薄皮も引いておきます。
身は、なるべく薄くそぎ切りにして、皿に並べていきましょう。今回は貴重な一尾ということで、身のたくさんついている頭の部分は、さっと塩をして塩焼きで添えました。
右下にならんでいる少し白い身の刺身は、一緒に釣れたシロギスです。こちらも一尾だったので、刺身にして添えてみました。
さていよいよ肝味噌たたきにとりかかります。塩を当てておいた肝は、流水で静かに塩を洗い流して、軽く水気をとります。普通だとここでさっと熱湯にくぐらせて、氷水で肝を締めますが、なにしろ今回の肝は、やわはだを思わせるほどキレイだったので、生のままたたきました♪
まずはざっと肝だけをたたいて、そこに肝よりやや少な目の味噌を加えます。ここでさらにたたいて、味噌と肝を練り合わせていきます。ある程度肝と味噌が混ざったところで、万能ネギの小口切りを一つまみパラリと加えて、さらにたたきます。ここまでたたくと肝と味噌が一体となって滑らかなペースト状になり、たたいたネギの香りもほのかに香ります。
これを大葉に乗せて、薄造りに添えれば完成です!!
ポン酢もそえましたが、まずは薄造りの身に肝味噌をちょいと載せてそのまま一口。肝の甘みと味噌の香りが一つになって、かめばかむほどカワハギの身にまとわりつくようで、シコシコした身の食感と相まって最高です。ここで寒中梅の冷やを一口含むとちょいと辛口ながらさらっとした酒が、肝のまったり感をさっと洗い流してくれるようです。
今度は、肝味噌をのせたカワハギをポン酢につけてもう一口。ポン酢の柑橘系の香りが加わって、さらに深くかつ爽やかな風味です。
こんな感じで、肝味噌を添えたカワハギと酒は、どんどん進み(^^ゞ・・・間でシロギスの甘い刺身が時々趣向を変えてくれる感じでした。もちろん肝味噌だけをちょっと舌に乗せて、肝のまったり感を思い切り味わった後、日本酒を一口やるなんて楽しみもありますね。
一尾だけのカワハギでしたが、こんな感じで食べる方は十分堪能できました。
でも今度は、何尾か釣って、鍋で熱燗もやりたいなぁ~(^^ゞ