しめさば
以前しめさばの一種である
サンサンじめをご紹介したが、今回はいわゆるしめさばである。サンサンじめと比べると、かなり時間をかけてしめている。サンサンじめはすでに試したのと、今回使うサバはサンサンのときより少々時間が経っていたので、普通にしめさばにすることにした。
サバは3枚に卸して、腹骨を漉き取っておく。血合骨もこの段階で抜いても良い。締めてからだと、身が締まっている分、少し抜きにくいかもしれない。ちなみに皮は、食べる直前に薄皮をむけばよい。これは圧倒的に、締めたあとのほうがやり易く、綺麗に仕上がる。
さて卸したサバにたっぷりの塩を振る。全体に白っぽく見える程度まで十分に振っておこう。ちなみに後々薄皮をむき易くするために、手のひらで尾から頭に向かって、皮に塩をすり込むようにすると良いらしい。
両面十分に塩を振ったら、そのまま冷蔵庫で塩締めにする。今回塩締めにした時間は、約6時間くらい。保存性を考えるなら、もう少し長くてもいいらしい。ただし身に塩が回るので、その分塩味が身に染みることになる。すぐに食べるなら、逆に3時間程度でも良いと思う。ただしその場合は、一度で食べきれる程度の量にとどめたい。
塩締めした身は、一度水で塩を洗い流す。できれば酢と水を同量で割った酢水で洗うと良いらしいが、酢が勿体ないという貧乏性な理由から私は水で洗い流している。塩を洗った身は、ペーパーナプキンなどで、十分に水気をふき取っておく。
バット等にサバの身の長さにあわせた昆布を敷き、その上に塩締めにしたサバを載せる。そうしてそこに酢を入れていくのだが、私の場合サバが半分浸かる程度の酢を入れる。これまた酢が勿体ないという、極めて俗な理由だが、途中で裏返せば全体を浸けることができるので、少々時間はかかるが酢を節約したければこの方法でよいと思う。
酢に浸けている間も、冷蔵庫に入れておく。このとき本当は、ゆずの薄切りを香り付けに入れようと思ったが、ゆずが売っていなかったのでかぼすの薄切りを代用した。これにより酢の味の角を取ることと柑橘系の清涼な香りを加えることを期待している。皮目を下にして1.5時間浸けたあと、裏返して身側を下にしてさらに1.5時間浸けた。この程度だと、写真のように身の表面だけがうっすらと酢焼けして白い状態になる。保存性を考えるともっと長時間酢に浸けて、ほぼ完全に白っぽく酢焼けするまで浸けたほうが良いが、折角の釣りたてのサバを食する方法としては、いささか勿体ないきらいもある。まぁこの程度の浸け具合で、その日か翌日くらいには食べきるというのが良いと思う。
浸け終わったら、まず薄皮を剥く。これくらいの時間浸けておくと、きもちいいくらいペリペリってな感じで薄皮がむけて、皮目の模様がきれいに残る。サンサン締めより見た目には良い。サンサンじめがサバ本来の味本位な締め方なら、こちらはビジュアル系なサバの締め方ということになるのかな~ さらに浸ける前に血合骨を抜いていなかった場合は、ここで抜く。私もここで抜いたが、塩締めの時間が長かったせいか、サンサンじめと比べるとかなり抜くのが難儀である。骨抜きを使って、かなり力を入れてぬくことになるので、自信のない向きは塩締めの前に抜いておこう。
あとは、平造りにして盛り付けるだけだが、サンサンじめの項でも書いたけれど、できれば身に浅めに一度切れ目を入れた後、2度目の包丁で切るという八重造りにすると見栄えもよく、醤油なども絡みやすいらしいので、お奨めである。八重造りの方法は、少々解りづらいが、写真を参考にしていただけると幸いである。
さてこうして出来上がったしめさばであるが、やはりサンサンじめとくらべると塩味が立っている。塩締めの時間が長いからだろう。ただ酢締めは写真の程度なら身の中央はサバ本来の味、食感が十分残っており、いわゆるしめさばのイメージで考えるとかなり美味だと思う。しっかりと締めた分、身の歯ごたえも増して、これはこれでサンサンじめとは違った味わいだ。どちらが好みかは、各人によって意見の分かれるところだと思うが、決してサバ本来の味は損なわれていないということだけは、最後に書き添えておきたい。
この料理の評価(満点:星5つ)
★★★★
あえてサンサンじめと同評価・・・甲乙つけがたし。ビジュアル的には、こちら
関連記事